2003.10.24UP
ラジオのDJとして活躍中の山本シュウさん。小学校1年生と5年生の娘さんを持ち、なんとPTA会長も務めています。その活動方法が、とってもユニーク。PTAのイメージやあり方を根本から覆す、”山本シュウ流”PTA会長のパフォーマンスをご紹介しましょう。
 「イエイ、イエイ、イエ〜イ!」という元気なしゃべり出しでファンの心をつかんでいる、ラジオDJの山本シュウさん。どちらかというとウルサ型関西弁で、見た目はちょっとヤンキー風。NHKに出演するときもサングラスを外しません。
 この山本さんには、もうひとつの顔があります。それは、小学校のPTA会長!
「最初は“入学式と卒業式のスピーチだけやってくれればいい”って頼まれた会長やねん。俺はしゃべりのプロやからっていう理由でな。でも、いざ活動に携わってみると、なんか理不尽なことが多いねん」
 で、生来の反骨魂が爆発。気づいたときには事務所のマネージャーにPTAの年間予定表を渡して、「PTAの予定が入っている日には、スケジュールを入れないように!」と叫んでいました。
 「山本シュウ流」は、PTA会長としての初仕事の「入学式」で早くも炸裂。玉虫色のスーツにサングラス姿、頭にはアメリカ国旗が描かれたシルクハットをかぶって壇上に上がったのでした。
「その格好で、いきなり『オッハー!』って挨拶したんや。それからみんなに、『これから僕のことを“PTA会長”と呼ばず、“レモンさん”と呼んでください』と言い、新入生に『レモンさーん!』って元気よく呼んでもらったや」
 その場にいた人たちは子どもも大人も、さぞかし驚いたことでしょう。でも、なぜそんな型破りなPTA会長になろうとしたのでしょうか。
「俺は『PTAって何や?』って考えたとき、まずはその意味を調べた。『PTA』って『Parents Teachers Association』の略なんやね。そっかー、親と先生なんやって。でも俺のPTAは『Punk(=激しく) Trance Techno. (=気持ちよく)Acoustic(=優しく)』っていうのを目指そうって思った。何より、PTAというものを子どもたちにもっと身近に感じてもらいたい。だったら、『PTA会長』っていう堅苦しい呼び方はよくない。それで、『教育の現場にビタミンCを。ピースフルなイエローを』っていう意味で『レモンさん』という名前をつけたんや」
 実際に彼が学校へ行くと、遠くからでも「あっ、レモンさんだぁ〜!」って、子どもたちが駆け寄ってくるそう。そして彼の考え方はPTA全体に浸透し、あるお母さんはレモンのかぶりものを作ってくれ、PTAの役員グループにも「チームレモン」という名前がついたといいます。
普段はマイクの前でメッセージを伝えるラジオDJ。音楽のことをきちんと語れるDJとして周囲の信頼も厚く、数多くのアーティストと交流を持つ。
これがPTA会長「レモンさん」の姿! このかぶりものは、生徒のお母さんが“はりこ”の要領で手作りしてくれたもの。
「チームレモン」はこんなTシャツまで作りました。これも役員の人が自分でデザインし、プリントなさったもの。
 
 

 PTA会長レモンさんとして、何より改善をしたかったのが運動会でした。山本さんは言います。
「それまでは、先生には申し訳ないけど、正直ひとりの父親として、サブイ=シラけた運動会やなぁ〜と思ってたんや」
 まず最初に手をつけたのが、運動会の放送でした。
「俺はラジオのDJやからね。それを生かして、これまでの古臭い運動会用音楽はやめて、最近流行の曲をかけて運動会をどんどん盛り上げた。ナレーションや実況も、放送委員会の子どもたちを指導して、気持ちが高まる放送にしたんや」
 放送委員会の子どもたちに提案すると、子どもの方から「レモンさん、朝練やろ!」って言い出したそうです。
 グランドの飾りつけも変えました。それまでは「これぞ運動会」というような万国旗みたいなものが、何にもなかったのです。

雨が上がったとき、父兄と一緒にグランドの水を新聞紙で吸い取る山本シュウさん。

「で、『万国旗ぐらいは飾りましょう』って言ったら、『その万国旗に入っていない国もあるので、それは差別につながるからだめです』って却下された。それなら『みんなで親の似顔絵を描いて、それを飾ろう』と提案したら、OKが出た。会場の雰囲気も盛り上がったんや」
 差別につながるから万国旗はダメとは…、いろいろな制約があるんですね。でも、それらに正面から反発するのではなく、別のアプローチ方法をとって、解決の糸口を見つけるのが、”山本シュウ流”PTAです。

 そして、会長3年目となる今年の運動会。朝から少し雨が降っていたのですが、準備だけは進めていて、生徒も教室で待機していました。しかし、ようやく運動会がはじまるというときになって、本降りになってきました。

 

「そうしたら、まずPTAの役員がグランドに出て、ぞうきんや新聞紙でグランドの水を吸い取り始めた。そのうち見に来てた父兄も協力して、やっと運動会が始められる状態になってん。でもまたいきなり雨がザーッて降り出して、先生も『とにかく30分、様子を見ましょう』ってなった」
 このとき学校中は、「絶対運動会をやりたい」っていう雰囲気に包まれていたのだそう。その願いが通じたのか、再び雨が上がり始めたとき、感動のドラマが生まれました。
「降り出した雨でまたグランドは水浸しになったんやけど、なんや、心配そうに外を眺めていた生徒たちが、ぞうきんをもってグランドに下りてきてん。今度は親と子どもたちが一緒になって、水溜りの水を吸い始めたんや。誰も『手伝いなさい』って言ってないんやで。砂場から砂も運んで、運動会ができる状態にみんなでしたんや。でもこれで運動会があるかどうかわからんかってん。そんな不安な状況で、校長先生が校内放送でしゃべり始めた。学校中に緊張が走り、今まで騒いでた生徒もシーンとなった。

『えー、朝から雨が降って心配だった運動会ですが、本日、運動会を予定通り行ないます。生徒は自分のいすを持ってグランドに下りてきてください』

 みんな、『ヤッター!』って歓声を上げた。待ちに待った運動会や!」

 
 昨今、教育の現場ではさまざまな問題が取り沙汰されています。特にPTAは、役員同士の人間関係や、活動そのものへの取り組み方で悩んでいる方も多いと聞きます。
「P.T.Aは、先生らに対して、つっこみを入れるだけじゃあかんねん」と山本さん。
「私たちは先生方の味方なんです! とバックアップする気持ちが大切やと思う。親の都合が優先したら、子ども達にそのしわ寄せがいくねん。もっともっと親や地域の人達が学校という現場に参加せなあかんねん! 戦後、日本中の学校を大人達みんなが協力して支えてきたように」
 型破りな主張をしたのも、「少しでも学校をよくしたい」という気持ちから。もちろん、「タレントの売名行為だ!」とか「サングラスに茶髪で感じ悪い」だとか「出しゃばりすぎ」とか、ずいぶんと文句を言われたそう。
「いつの時代も結局何もしない人ほど文句を言う。けど、やっている気持ちが本気で純粋なら、必ず伝わるっちゅう気でがんばった」
 そうしたら一年が過ぎたころから周囲の反応が変化していきました。
「大人達が俺を守ってくれるし、ほめてくれるし、文句言うてた人まで自慢しだしたし…。教育って言うのは賞味期限があんねん。既存のやり方にとらわれたらあかんねん! 大人も子供と一緒に成長していかなあかんねん。恐れたらあかんねん。大切なのはしっかりとその胸にひとつだけ“全ては子供のために!”を焼きつけて、大人がしんどい思いをせなあかんねん。そしたら不思議や、いやいやPTA活動やっていた親たちも、みんな“感動”というおみやげを手にして、涙する人も出てくるんやって」
 
運動会終了後、PTA会長として挨拶をするレモンさん。初めて見る人はびっくりするでしょうが、先生も生徒も真面目に話を聞いています!
 山本シュウがライフワークとして続けているトークライブ「POW WOW POWER」では、PTA問題を始め、エイズ、DVなどさまざま分野を真面目に、かつ、おもしろおかしく爆裂トーク。次回開催は12月24日東京渋谷「Club Asia P」にて。詳しくはプライベートホームページ。このホームページでは、山本シュウの「インタネットストリーミングラジオ」も聞けます。
毎週日曜日 
スカイパーフェクTV!ch301 FightingTV SAMURAI 「生でGONG×2」 (21:00〜22:00)
毎週月曜日
テレビ神奈川「横浜ウォーカーTV」(19:50〜20:45)
毎週金曜
FM大阪「POWER NUTS」(18:00〜20:00)
毎週土曜
FMFUJI「SATURDAY STORM」(18:00〜20:55)
- c l o s e -