今年のいちおし“いちご”を知っていますか? いちごは、品種、色、大きさ、価格などによって微妙に味が違います。東京の青果市場「大田市場」のいちご博士を訪ね、今年の出来やいちごの基礎知識について教えてもらいました。また、「近くのスーパーのいちごとフルーツ専門店の高級いちごはどう違う?」という疑問を解決すべくスタッフ数人で食べ比べを実施。その意外な結果をお知らせします。
 いちごが多く出まわるのは12月〜5月。その中でも寒い時期に育った1月下旬〜3月上旬のいちごが一番おいしいと言われています。今年のいちごの収穫量は例年並みですが、平成15年に新品種の「あまおう」が誕生したおかげで、今まで以上に甘くて、大きくて、おいしいいちごが楽しめるようになりました。「あまおう」の生産量は、まだそれほど多くはないのですが、どんどん生産地が増えているため、近い将来いちごの中でもかなりのシェアを占めそうな予感。今後は「あまおう」から目が離せません!
 いちご博士
 東京青果 
 果実第2事業部
 菊地正美さん
東京都中央卸売市場
大田市場
有限会社 文孝
星野 和一さん
 ※シェアはおおよその数値で、全国の総生産面積に占める割合。生産量のシェアと考えられます。
品種(交配)
生産地
シェア
特徴
 
とちおとめ
(久留米49号×栃の峰)
北関東地区
愛知県
35%
平成8年に誕生。生食のほか、調理・加工などすべての用途に使われるいちごの王道。わりと酸味があり、甘ずっぱいものが多い。日持ちするためケーキには欠かせない存在。
とよのか
(ひみこ×はるのか)
九州地区
25%
(減少中)
昭和48年に誕生。色はオレンジ系で、赤くなりにくく、「とちおとめ」と比べると、ケーキなどに使われることは少ない。甘味は「とちおとめ」と変わらない。そのまま食べるのがおすすめ。
あまおう
(久留米53号×92−46)
福岡県
10%
(増加中)
平成15年に誕生。「あかい・まるい・おおきい・うまい」が特徴で、名前もその頭文字をとってつけられた。みずみずしくて、ボリュームがたっぷりなので、生食用としては人気急上昇!
あきひめ
(久能早生×女峰)
静岡県
愛知県
10%
昭和60年に誕生。甘味が強いので、生食がおすすめ。実が細長くわりと大粒のものが多い。形は整っているので、贈答用として使われることもある。
さちのか
(とよのか×アイベリー)
佐賀県
長崎県
10%弱
平成8年に誕生。他品種よりやや小さめだが、光沢や色づきはいい。少し歯ごたえがあるが、甘味が強いので、生食におすすめ。
さがほのか
(大錦×とよのか)
佐賀県
5%
平成10年に誕生。やや歯ごたえがあり、甘味は強いが、酸味がないのが特徴。大粒で形が整っているので贈答用にも使われる。
その他
5%
「女峰」、「アイベリー」の生産面積は数%とかなり少ない。その他、オリジナルの交配で作った品種も多く、いちごの品種をすべて把握することは困難と言われるほど。
 「とちおとめ」は、他のいちごに比べ、日持ちがすることから、ケーキなどの加工用としてよく使われています。また、甘味が弱く、酸味が強いため、生クリームなどとの相性もよく、シャキッとした歯ごたえもケーキにマッチ。実が固めなので崩れにくく、ケーキの飾りにも適しています。クリスマスなどの時期には、かなり多く出荷されるため、いちごの生産面積も全国1位。もちろんよく熟した「とちおとめ」は生食用としても人気が高く、贈答用として使われることもあります。
 他の品種のいちごも、ケーキなどの加工用として使われることあります。その場合、少し青めの段階で収穫し、日持ちするような工夫がされます。また、ジャムにいちごを使う場合は、形が崩れてしまったものや、熟しすぎてしまったものなど、生食用として出荷が出来ないものを使われることが多いのです。
 その名の通り「あまい、まるい、おおきい、うまい」のが「あまおう」の特徴。一口食べただけで、甘さと香りが口中に広がり、とてもジューシー。実がしっかりしまっていて、コクがあるので、何もつけずにそのまま食べるのがおすすめです。通常のいちごより約20%も粒が大きく、大玉の確率が8割以上。いままでの「小さくてかわいい」といういちごのイメージを一新!
 この「あまおう」には、「とよのか」や「さちのか」の血が入っていますが、「とよのか」よりも色、つや、味のすべての点が上回っているため、生産者は「とよのか」から「あまおう」への更新に積極的だとか(JA全農ふくれんでは、いちごの作付面積を今年中に全面的に「あまおう」に更新する予定)。今後、期待の星なのです。
大きいいちごが好まれるようになり、
特大いちごがブームに…。
作業をする人達の負担も減りました。

 いちごをそのまま食べる人が増えてきたことにより、大粒のいちごが好まれるようになりました。実は、そのおかげで、作業をする人の負担も減少したのです。
 いちごの畑は、通常地面に近いところに実がなるため、かがんで仕事をすることが多くなります。また、いちごのパック詰めは、1粒1粒、粒が当たらないように規則正しく並べなければいけません。小さいいちごだと1パックに入る数も多くなり、作業をする人にとってはとても負担でした。いちごが大粒に改良されたことで、1パックに詰める量が減り、並べる負担が激減。しかも大きないちごの方が売れるとなれば・・・今後、ますます大きないちごの品種が改良されそうです。