FILE.20 ニワカ結婚相談所
【その3】先に相手のことを理解する 07.10.30
 いや。メモなんかしなくていいんですよ。いま私が言ったこと、ユミカさんは共感してくれたんだよね。そうしたら次は自分の頭の中でもう一度考えて、自分の言葉で彼に話すことを組み立ててみてね。借りた言葉では相手を納得させられないですよ。自分の気持ちから湧き出た言葉を大事にしてください。

「わかりました。でも、彼、わかってくれるかなあ。不安だなあ。それと、うちの彼ってひとりっ子なんですよ。でもって、お義母さんは専業主婦だったから、親の影響って強いし。「ただいま」ってお義父さんが帰ってきたときは、必ずごはんができてて「おかえりなさい」って言ってもらえる生活を見てきてるんです。そんな彼がそういう女性の仕事をきちんと理解してくれるのか……。ああ、やっぱり不安です」

 ふんふん。いいですね。やっぱり、あなたすごく有望ですよ。ダンナのこと、きっちり育てていけますよ。

「ええっ?! ダンナって育てなきゃいけないんですか? もう一人前の社会人ですよ。子育てとは違いますよねえ。それに、なんで私が有望なんですか??」

 はいはい。先ほども申し上げましたけどね、あなた、とっても彼のこと理解してますよね。ひとりっ子のことはあとで話すとして。
 まず、お義母さんが専業主婦だったことで、彼の「夫婦のモデル」は専業主婦家庭しかないんですよね。なので、あなたが危惧するように、家のことは、女性がなんでもしてくれるものだという感覚が恐らく根強いと思います。だからこそ、言葉で話して、あなたの仕事をしている姿も、成し遂げた仕事も見せて、彼に理解してもらうことがすごく重要なんですよ。
 理解してもらう前に大事なことは、彼が「女性は家のことをするのが当たり前」という感覚をもつのは当たり前だということを話すことです。
「●●(彼の名前)はさ、専業主婦のお母さんのもとで愛情かけてもらって幸せに育ったんだよね。いい家族だよね。だから女性が仕事する家庭がイメージわかないだけだよね」って。「よくわかるよ。それはしかたがないことだよね」と言ってあげてくださいな。
 でも、あなたが結婚しようとしているユミカは仕事を続けたい。仕事をしながら子育てをして、私たちの子どもに自分の仕事をしている姿も見せたいんだと続ける。子どもに夢をもってほしいからこそ、親の自分が夢を追う姿を見て欲しい。だから、一緒に家族を支えて欲しい、そう話してはどうでしょうか。
 あなたがもし、最初から「どうせ理解できないでしょうけど」とか、「あなたには女性が仕事するということを理解していない!」みたいに言ってしまうと、即けんかになります。でも、「あなたが理解できないのは、」じゃないな。そう、「あなたが共働き夫婦の姿をイメージできないのは、当然だよ。だから、少しずつ自分たちのスタイルを一緒に作り上げていってほしい」。そんなふうに話してみたらどうでしょうか。

「なるほど。自分を理解して欲しいのだから、まず、相手のことを理解するってことですよね」

 そうなんです! さすがですよ。優秀!
 で、理解してるよ、ということを伝えることです。

「だって、島沢さんの『ルネッサンス』に出てくる離婚した女性って、みんなそのあたりですごく憤ったり、諦めたりしてますもんね」

 そうなんです。彼女たちの姿から、あなたたち若い方が学んでください。前にも言いましたけど、みんなそのあたりのことを、「結婚前に話し合えばよかった」と言っています。でも、結婚した後だって十分間に合います。いくらでも夫を育てるというか、育てるなんてそんな大層なものではないのですが、理解し合うことは不可能ではないと思うんですよ。

「でも、やっぱり「愛」がないと、わかりあうことなんてできませんよね」

 ええ。でも、愛情があるからわかりあえるというのも、実は甘い考えなのかなとは思いますね。日々、男性も仕事に追われたり、いやなこともあったり、しんどかったりしながら生きているわけですよ。余裕がないところにそういう話をされて、明日から家事育児とも半分ずつね、みたいに言われたらパニックになっちゃうのかもしれません。
 だから、結婚前の余裕があるうちにそういう話をする、理解し合う作業をしておくことが大切なんです。

「了解です。まず、彼にあなたのこと、私理解してるよ、っていうことが大事なんですね。
 で、あのう。あと、彼はひとりっ子なんで、母親との絆って強いんですよ。わりとなんでも母親のいうことを聞く、みたいな。いずれは同居という話も出ていて……」
(その4に続く)
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