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FILE.4 子なし夫婦の憂うつ
【前編】優雅なDINKS 06.11.21 |
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アサミさんは41歳の専門学校講師。サラリーマンの三つ年上の夫と結婚して10年になる。子どもはいない。大企業に勤める夫の年収は、1000万円を超える。アサミさん自身はフリーの講師だが、収入は月々20万以上だ。
「子どもは好きじゃないの。こんな時代に生まれた子どもが果たして幸せなのかなと思っていたし。それに、自分の夢を追いたかったし。子どもを持つことには夢をもてなかったんです」。
結婚した当初アサミさんは普通のOLだったが、転職を考えていた。仕事と両立しながら、転職に有効な資格を取得する勉強を開始したばかりだった。プロポーズされたとき、夫には「私は子どもは作らないよ。それでもいいんだね?」と告げた。夫は「ああ」と短く返事をしただけだった。
「子どもをもつ、もたないということに関して、深く話し合うことはしなかったですね。私たちは芝居やクラシックが好きで、二人ともそういった趣味にお金を使っていました。貯金もそんなになかったし。マンションを買うとか二人で趣味を楽しんでいく人生を考えたら、子どもをもつことは考えられない。私はそう思ってました」。
新婚旅行はヨーロッパ。2週間かけて楽しんだ。おみやげを渡しに遊びに行くと、子どものいる友人たちは「子どもは金食い虫なのよ。お金がかかる」と嘆いていた。家のローン、教育費。「そんなものに縛られたくはない、って心底思いましたね」。「子育て」というプランがない生活は、快適だった。
バブル期に「DINKS=ダブル・インカム・ノー・キッズ」といって、子どものいない優雅な夫婦生活がもてはやされた時代があったが、アサミさんたちはそれを地でいく生活をしていた。休日の午後は夫婦そろってジム通い。夜は正装して、歌舞伎にミュージカルにオペラと劇場へ。趣味が合い話も合う夫は、彼女にとって最高のパートナーだった。
ところが――。あるとき、電話代の請求が5〜6万にも膨れ上がっていることに気づいた。夫に問いただすと、当時流行ったダイヤルQ2にはまっていた。「当時から夫は夜勤勤務で、昼間の仕事の私とは休日以外はすれちがいの生活でした」。
一人の時間を過ごす寂しさからやってしまったのだろうか……。しかも、夫は共通の友人に、「実は子どもが欲しいんだ」と打ち明けていたことも判明。ダイヤルQ2はすぐにやめてはくれたものの、彼女は自分が気づかなかった夫の気持ちに戸惑った。
その共通の友人に、「子どもを作らないとなると、人生に目的がもてなくなってるんじゃないのかなあ。マンションでも買ってローンを背負ってみたら?」とアドバイスを受けた。3LDKの賃貸マンションは立地も居心地もよかったので、彼女には特に持ち家願望はなかった。ローンに苦しむのはいやだった。けれど、彼女はマンション購入を決めた。「何かこのままだと、この人ダメかも、って思ったんです」。
「夫もマンションを買うことはすごく意欲的でした。でも、頭金がいまいち少ないよねと言ったら、『頭金はどこで借りようか』という。私は『あのね、頭金は貯めて現金で持ってなくちゃダメなのよ』と、そのときは笑いこけましたが、お金に関する知識とか感覚がかなり乏しいなってそのときに感じました。研究職という専門的な仕事なので、世間知らずなのかもと。お金でおかしなことしてくれなきゃいいけど、ってほんの一瞬だけど思ったのを覚えています」。(次週に続く) |
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